記事中の“大人の矯正は百害あって一利なし”や“歯列矯正は十歳前後までが限界だと考えている”という記述は著者個人の見解であり、日本最大の矯正学会である日本矯正歯科学会のものではありません。
また、顎関節に関しても日本顎関節学会より“矯正治療と顎関節症の因果関係は認められない。”という見解が出されています。
”好ましくない歯の移動”が一部で行われていることも事実ですが、適切な矯正治療では成人の方でも審美的・機能的に充分満足できる結果を得ることが出来ます。
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他院での抜歯治療について
10年以上前に4本抜歯して矯正しました。今年になって後戻りがあり、また出っ歯気味になったのを気にして、このたび、歯を少しづつ削り6~8mmのスペースを作ってインビザライン?透明のマウスピースを使用して矯正をしましたが、前の口元には戻りません。金属の矯正とは違い、根元から引っ込まないせいか、口元がもったりして笑うとひきつって鼻の下が伸びる感じ(ミッキーマウスの口元のよう)で上下の唇がビロンとふくらんで歯がほとんど見えない笑顔です。確かに多少はひっこんだのに、どうしてこんなに笑顔が奇妙なのかわかりません。
憂鬱で仕方ありません。治療はまだ完了していないのですが、もう隙間はなく、この方法で上手くいくとは思えず、どうにかしたいのです。今度先生に相談しようと思うのですが、もし何も方法がないから諦めろと言われたらどうしようかと不安です。更に抜歯して矯正しなおすことは可能なのでしょうか?このままの口元では生きるのがつらいので何か方法があったら教えて下さい。
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実際に口腔内を拝見しているわけではありませんので,一般的な回答になりますが,既にストリッピング(歯を削る)量も限界に近いと思われますので,このままの治療法では大きな変化は望めないと思います.
追加の抜歯をすることも考えておられるようですが,既に4本抜歯 しており,極端に顎が小さいなどの場合を除けば更なる抜歯は一般的ではないと思います.(親知らずがあれば,親知らずの1~2本前の歯を抜いて,前歯を後退させることは十分可能です.)
その他の治療法としては,矯正用アンカースクリュー(インプラント)を併用した矯正治療を行う方法や,外科矯正の方法も考えられますが,実際に適用できるかどうかは拝見しないとわかりません.先ずは,主治医と納得のいくまでご相談されることをお勧めします.
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他院での非抜歯治療について
矯正を始める時に抜くかどうかですごく迷い、知人や両親に相談したところ,健康な自分の歯は抜かない方がいいと言われ抜かずに矯正しました.1年半~2年くらいで綺麗には並んだのですが、もともと歯が前に出気味だったため、治療後にはさらに前に出てしまって納得いかないのですが、ここから4本抜いて前歯を下げることはできますか?
あと,期間はどの位かかりますか?
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歯並びが凸凹の場合は,歯が並ぶスペースの不足ですが,スペース不足を解消する方法は大まかに分けると3通りしかありません.
1:歯列の拡大(前方,後方,側方)
2:ストリッピング=歯を削る
3:抜歯
患者様が,自分の歯をできるだけ抜きたくないというのは当然の心理ですが,客観的な判断基準としては凸凹の量によります.
「絶対に抜かない矯正」等という広告をしている医院も存在するようですが,誇大広告,もしくは学術的に許されている限度を超えて拡大やストリッピングを行っていることになります.
矯正歯科医は,抜歯をして矯正するメリットが,抜歯により生じるデメリットを上まわっていると考えられる場合に,抜歯をお勧めしているとお考えください.さて,ご相談のケースですが,抜歯治療も非抜歯治療も考えられる,ボーダーラインケースだったと考えられます. このような場合は,治療前の診断時にそれぞれ治療法についての利点欠点を説明されたと思いますが,非抜歯治療の最大の欠点は,横顔の口元に変化がないか,さらに前に出てしまうということです.
最近では,矯正用アンカースクリュー(インプラント)が認可されましたので,成人でも後方への拡大がある程度可能になりましたが,それでも口元を後退させることは困難です.
ですから,治療前の程度で宜しければ,非抜歯治療のままアンカースクリューを併用して再治療ということも考えられますが,治療前よりも後退を希望される場合は抜歯が必要になると思われます.
実際に口腔内を拝見しているわけではありませんので,一般的な回答になりますが,再治療の期間は,1年半程度は必要と思われます.
また,費用的面や,治療前の状態を知っていることからも,非抜歯治療を行った医院で再治療を行うのが望ましいです.
先ずは,前医と納得のいくまでご相談されることをお勧めします.
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他院からの転医について
アメリカにて1年半矯正治療を行い、今後日本で治療を続けたいと思い、先生を探しています。今まで診てもらっていた先生によると、後約6ヶ月で矯正器具がはずせるということでした。もし、仮に6ヶ月で治療を終了できるとすると費用はどれくらいでしょうか?尚、セラミックの矯正器具はつけたままです。治療の為、どのような費用が発生するのでしょうか?
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転医の場合は,どうしても無駄な期間や費用が発生してしまいます.
当院で治療をお引き受けする場合は,先ず歯型やレントゲンなどを採らせていただくことになりますが,そのための費用が¥28000(以下すべて税別)かかります.
まだ,歯を動かしている状態であれば,再診断料¥8000が必要なことも殆どです.
次に,装置料です.これは治療の進行状況によって様々ですが,残り6ヶ月の場合であっても一般的には10万円以上はかかるとお考えいただいたほうが宜しいと思います.
セラミック装置をつけている場合は,さらに差額が必要になります.(現在セラミック装置でも,それを使えるところまで使って,当院で付け替える時にはメタルブラケットを希望される場合は差額は必要ありません.)
その後,来院毎に¥4820かかります.
最後に,今までの装置をはずして,後戻りの無いようにおさえる装置(リテーナー)になる時に¥48000が必要になります.
装置料以外は確定した金額ですが,装置料につきましては拝見しませんと確定できませんので,ご予約のうえ一度御来院下さい.
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他院での抜歯治療について
私は歯を4本抜歯し、歯列矯正をしました。
私の悩みは矯正後にほうれい線が出来たことと、上唇が重く感じるようになった事です。
特に下を向いたときに上唇が重く感じ,口を少し開けるとブッと言う空気が抜けた音がします。これはアーチが狭くなったことで上唇と歯の間に隙間ができた事が原因のような気がします。
ダイレクトボンディングで歯を削らずに厚みを加える方法もあるようですが,他に方法はないのでしょうか?
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お口のまわりには口輪筋をはじめとしてたくさんの筋肉が走っています。それらは歯並びに対して外側から押さえるような働きをしています。
4本抜歯しての歯列矯正が必要となるような患者さんの中には、常に口が開いてしまっていて唇を閉じるのが苦手な方がおり、これらの筋肉の力が弱い方がいらっしゃいます。
唇をすぼめて左右に動かしたりする「顔やせ体操」のようなことでお口まわりの筋肉を鍛えてあげると、症状が改善するかもしれません。今の歯並びに慣れるという意味でも試してみる価値はあると思います。
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金属アレルギーでも矯正治療は受けられますか?
金属アレルギーの方が矯正治療をする場合
アレルギーとは特定の物質に対して過剰に免疫反応を起こすことで、環境要因との関連が強いといわれています。金属アレルギーも原因となる金属が体内に取り込まれたことにより成立するもので、ピアスなどの金属アクセサリーや口腔内の金属歯などが原因としてあげられます。意外なものとして、カカオや大豆などの食物が原因となるともあります。
金属アレルギーが矯正治療前から分かっている場合には、金属を使用しないセラミック等の装置やマウスピースを選択することも出来ますので、後から余計な費用が発生することも少ないでしょうし、「治療をしない」という選択も考えられます。
治療途中でアレルギーが分かった場合は対応が難しく、金属を含まない装置になるべく替えるなどして治療の継続を試みます。金属アレルギーといっても、歯肉がすこし腫れる程度で済む方もいれば、外側の頬の部分にまで発赤が生じる方もいます。程度が軽ければ矯正治療を継続できるでしょうが、重度であれば中断せざるを得ない場合もあります。また、金属歯や矯正装置から溶け出す金属を減らすために、酸性食品の摂取をコントロールすることも効果がある場合があります。
金属アレルギー反応を起こしやすい矯正装置の材質とは
矯正歯科で用いられる金属材料には、ブラケット、ワイヤー、バンドなどがありますが、金属アレルギーの原因となりやすいニッケルやクロムを含んでいることが多いので注意が必要です。
一方、金やプラチナなどはアレルギー反応が出にくいといわれていますが、一部の方に重篤なアレルギー反応を引き起こすこともあります。
また、ある金属でアレルギー反応が出ると、他の金属でもアレルギー反応を引き起こしやすいという交差反応がありますので、チタン製の矯正用アンカースクリューを使用する場合も、ニッケルやクロムなどでアレルギー反応が出ている方は慎重に行う必要があります。金属アレルギー反応が起こしにくい矯正装置の材質とは
前歯につきましては、金属を全く使わないセラミック装置も一般的になっていますし、チタンの装置を選択することも出来ます。
ただし、チタンについては極まれにアレルギー反応を引き起こす場合もあります。
一方、奥歯用のセラミック装置は一般的な形状のものは未だ販売されていないと思いますので、前歯用のものを工夫して流用するか、チタンの装置を使用することになると思います。ワイヤーについてはプラスチック製のものも出てきていますが、全ての治療に対応することが難しいため、チタンのワイヤーを使用したり、表面にコーティングを行い金属の溶出を少なくして使用することが一般的です。同様に、金属の装置にもコーティングを行うことがあります。
また、マウスピース矯正も金属アレルギー対策としては有効ですが、マウスピース矯正は歯の移動に限界があるため抜歯治療などには向いていない場合があります。金属アレルギー検査を受けるには
金属アレルギーが心配な方は、まず皮膚科で金属パッチテストを受けて、自分がどの金属にアレルギーを持っているのか確かめることが大切です。ただし、矯正装置に含まれている微量金属の成分まではメーカーが明らかにしていないこともあり、テスト結果に問題がなくても、実際に装置をつけた時にアレルギーが出ないと確定できるわけではありません。
金属アレルギーの既往がある場合は、ブラケットなど今後の治療で使用予定の矯正装置を、一定期間お口の中に装着してテストを行う方法もあります。金属アレルギーの発症にはさまざまな要因がありますので、この方法でも数年間かかる治療が終わるまで発症しないと断言できるわけではありませんが、パッチテスト結果に比べてより正しい診断ができるでしょう。特に抜歯治療の場合は、歯を抜いてしまうと後戻りが出来ませんので、事前のチェックが重要になります。
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管楽器の演奏に影響する歯並びとは
まず、以下の回答全てにあてはまることですが、患者さんが「プロの演奏家レベル(上級者)」か「趣味レベル」かによって若干答えが異なります。
歯並びによって演奏に影響がでることはありますか?
プロレベルでしたら影響がでることはあるでしょう。極端な出っ歯や受け口はもちろんですが、管楽器は前歯がたっているほうが演奏しやすい傾向があるので、前歯の傾斜がきつい場合は不利になります。犬歯が凸凹(八重歯)の場合、前歯はたっていることが多いので、前歯の凸凹が軽度であれば問題は少ないといわれています。前歯の傾斜が演奏に影響しやすい楽器としては、カップ型マウスピースのトランペットやトロンボーンなどの金管楽器があげられます。また、リードがあるクラリネットやオーボエの場合は、唇を巻き込みますので、前歯に凸凹があると唇に痛みを感じることがあるかもしれません。
矯正治療中に演奏はできますか?
演奏は可能ですが、慣れるまでは演奏しにくいと感じるでしょう。特に演奏時の形が出来ている上級者の場合は、装置をつけることによる口唇の微妙な変化により、難しい音が出しにくくなることが考えられます。矯正装置は、慣れるのに最低でも一ヶ月程度はかかりますので、大切なコンクールや演奏会の直前に矯正装置をつけることはお勧めできません。慣れた後も、吹くと疲れやすい・唇に傷ができやすい・前と同じ音が出ない等の影響が残るかもしれません。
特に歯を抜いて矯正治療をする場合は、最初のうちは歯を抜いた隙間も大きいですし、歯並びも日々変わっていきますので、上級者の方は安定した演奏が難しく感じるかもしれません。カップ型マウスピースのトランペットやトロンボーンなどの金管楽器の場合は、マウスピースを唇に押しつけるため、矯正装置の出っ張り自体が気になったり、音域に変化が出るかもしれません。フルートの場合は、前歯に装置がつくことにより、主に下唇が前歯の上を滑らかに動かなくなり微妙な調整がやりにくくなるかもしれません。一方、矯正治療をはじめて半年以上経っていて装置にも慣れている方が、初めて管楽器を始める場合は不具合を感じることは少ないでしょう。
どんな矯正装置が向いていますか?
楽器演奏のことだけ考えれば、なるべく小さい装置、あるいは取り外しができる装置などが望ましいということになります。しかし、取り外しができる装置は、歯を抜く治療には向いていませんし、細かい歯のコントロールも難しくなります。矯正装置にカバーをつけて、唇への当たりを柔らかくする方法もありますが、歯の移動が遅くなったり、つけている時といない時の感覚の違いが気になる場合もあります。
裏側矯正の場合は、装置による唇への影響を少なくすることができますが、表側矯正に比べて舌への影響が出てきます。個人差はありますが、タンギング(舌の動きにより音を切る)などがやりにくく感じるかもしれません。また、シングルリード楽器の場合、理論的には上顎に表側装置、下顎に裏側装置をつけることで演奏への影響を少なくできると考えられますが、通常の治療ではほとんど選択されない装置の組み合わせになります。
歯並びを改善することで、演奏しやすくなりますか?
一般的には、矯正治療後(装置をはずした後)は歯並びが改善されることにより、アンブシュア(楽器を吹くときの口の形)が安定しますので、より良い演奏ができるようになりますという回答になるでしょう。しかし、プロの演奏家レベルになると、あえて理想的な歯並びを崩してカスタマイズすることもあるようです。見た目は多少悪くなっても、上顎前歯間にスペースを開ける(スペースがあると、音抜けが良く楽に吹くことができるらしい)などの例を聞いたことがあります。また、矯正治療以外でのアンブシュア改善方法として、歯を削って表面に人工物を接着したり、演奏時に凸凹の歯に一時的にカバーをつけたりする方法もあります。
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歯の本数と口のバランスについて
最近母に言われて気づいたのですが、口が少し左に寄っていると言われました。そこで歯の数を調べてみると上は14本左右対称であるのですが、下が左が6本で右が7本で左が1本少ないことがわかりました。どうすれば口のバランスが良くなるでしょうか?
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歯の本数不足に対する治療法は,歯の大きさや,不足している部位により異なります.
口腔内を拝見しておりませんので一般的なお答えとしては,歯列に凸凹が見られるようなら他の歯も抜歯することにより本数を揃えることが多いですし,反対に隙間が見られるようなら人工物で補うことが多いと思います.
また,口のバランスについては,咬みあわせと直接関係していない場合もありますので,先ずはお近くの矯正専門医に相談されることをお勧めします.
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前歯の歯並びを揃えたい
前歯の歯並びを揃えたいです。揃えたい歯は2本です。
1本目は上の前歯で、他の歯よりも長いです。これは歯茎が弱くなってきたからと言われました。この歯の長さを他の歯と揃えたいです。
2本目は下の前歯で、後ろ向きに生えています。昔からではないのですが、段々と後ろ向きになってしまいました。原因はわからないのですが、眠っている時に歯をくいしばるくせがあり、朝起きるとこの歯がとても痛いです。なので、それが原因かもしれないです。この歯も他の歯と揃えたいです。
どのような治療があり、費用はどれ位かかるのでしょうか?
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口腔内を拝見しておりませんので一般的なお答えになりますが,凸凹については矯正治療が必要になり,歯の長さの違いについては歯周外科治療が必要になるかもしれません.
もし全体的に歯周病が進行している場合は,矯正治療が難しくなりますので,先ず歯周病の状態を確認するところから始めることになると思います.
矯正治療につきましては自費診療になりますので,医院により異なりますし地域差もありますが,全体的な治療であれば総額で80万円程度はかかると思います.
レントゲン撮影などの検査をすれば,歯周病の進行状態もわかりますので,お近くの歯科医院で相談されることをお勧めします.
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歯並びについての悩み
食事をした後に、前歯に食べ物の繊維が挟まることが増え、下の歯並びが年齢とともに悪くなってきているような気もします。30代を過ぎてからでも歯並びが変化することはあるのか教えてください。
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磨耗や,親知らずの影響などにより,歯は少しずつ動いていますし,舌や頬などの力でも歯は動きます.
加齢とともに,下の前歯は凸凹になりやすく,上の前歯は隙間が開いてくることが多いようです.
また,歯周病により歯肉が下がり歯茎近くに隙間が開いてきたり,歯と歯が接する部分が磨耗することにより点接触から面接触になると,物がはさまりやすくなります.